京都を学ぼう

京都の文化 食と暮らし(同志社女子大学教授 山田 邦和)

季節演出する京料理

京野菜盛り 「京料理」は、日本料理の代表格だということができます。季節感を大事にしながらひとつひとつ丁寧に調理され、盛りつけの器までに心配りを忘れない京料理は、まさに芸術作品にたとえられます。肉や魚を使わない精進料理も、殺生を嫌った寺院において高度の発達を遂げました。
 京都の食文化を支えたのは、近郊の農村から供給される質のよい京野菜でした。九条ネギ、聖護院大根、上賀茂のスグキ、賀茂茄子、堀川ゴボウ、鹿ヶ谷カボチャ、壬生菜などが京都の市民に愛され続けました。一方、内陸都市である京都は新鮮な海の幸には恵まれず、その欠点をさまざまな工夫で補いました。若狭(福井県)と京都を結ぶ山中の街道は「鯖街道」の通称で呼ばれています。若狭湾でとれた新鮮な鯖は、水揚げされると腐るのを防ぐためすぐに塩をふり、この街道を一気に駆け抜けて京都まで運ばれたのです。鯖寿司が京都の名物のひとつになっているのも、昔の京都の民衆の海への憧れを示すものなのです。

見直される町家

 京都の普通の家は、「町家」と呼ばれる特殊な造りになっています。敷地は「ウナギの寝床」と呼ばれており、正面が狭く、奥行きが深いという形です。細長い建物を貫いて通路を兼ねた土間があり、母屋の裏側には裏庭や雪隠(トイレ)、離座敷などが配置されます。京町家が並ぶ街並みは、いかにも京都らしい風景を演出しています。そうした京町家は次第に減少していますが、最近ではその良さが見直され、町家を改装しておしゃれなレストランなどにするという試みもあちこちでおこなわれています。