京都を歩こう

文化財鑑賞の手引き 庭園の見方

 平安時代、寝殿造りで貴族の館がつくられるようになるとともに、庭園づくりも発展してきました。室町時代以降は仏教の影響を受け、庭に思想や教えを表現しています。
 庭の楽しみ方としては、決められた場所から鑑賞する方法(鑑賞式)、庭園の中に入り散策する方法(回遊式)、庭の中の池に舟を浮かべて舟から鑑賞する方法(舟遊式)などがあります。庭園に合った鑑賞方法で、庭に秘められた先人たちの思いに触れてみましょう。

代表的な庭園形式~池泉回遊式庭園

池泉回遊式庭園 大きな池を中心にした庭を歩きながら鑑賞するスタイルの庭園を「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」と呼び、鎌倉時代までのほとんどの庭園がこの形式です。
 人工的な山の築山(つきやま)や岩組み、雑木林などをつくり変化に富ませ、池にそそぐ川や滝、橋や飛び石を配して、移り変わる景色を楽しみます。室町時代以降、大規模なものが多いのも特徴です。
 二条城の二の丸庭園、平安神宮神苑、桂離宮、金閣寺、天竜寺、仁和寺などが有名です。

代表的な庭園形式~枯山水庭園

石庭 枯山水(かれさんすい)庭園は室町時代に、禅宗の影響を受けてつくられた庭園様式です。
 水を使わず白砂の模様(砂紋)で川や海原を表現し、石組みで山や島、生物などを表しています。砂と石とわずかな苔だけを使ってつくられた庭を石庭と呼びます。自然を象徴的に表現した枯山水は、「観(み)る」というより「対話する」庭、といわれ、観る人によって自由に解釈できる面白さを持っています。
 龍安寺石庭をはじめ、大徳寺大仙院、妙心寺退蔵院、南禅寺などがあります。

その他のポイント~浄土庭園

平等院の浄土庭園 「お釈迦様がなくなられた後、2千年を経過すると、1万年間は仏教が衰える」という予言的思想の末法(まっぽう)思想が、平安時代後期に流行しました。それにともなって「池泉舟遊式」といわれる平安貴族の屋敷の庭が、浄土(じょうど)宗の寺院の庭園にも用いられるようになり、浄土庭園へと発展しました。
 自然の地形になるべく手を加えず、池、島、橋、阿弥陀堂などを配し、極楽浄土の世界を表現しており、平等院がその代表的なものです。

その他のポイント~借景庭園

円通寺の借景 借景(しゃっけい)庭園は山や森などの自然の風景を、庭の一部に取り込んだ様式です。
 広い縁側(えんがわ)と深いひさしがあるため、敷地内の庭と遠方の風景が、額縁(がくぶち)に入れた一枚の絵のように見えます。円通寺の庭園は比叡山の借景で有名ですが、もともとは後水尾(ごみずのお)天皇の離宮であり、天皇はいろいろな場所を巡って、ようやくこの地を探し当てたといわれています。しかし、この地は水を取り入れられず、大きな池泉庭園を造ることができないため、その後、後水尾天王は比叡山のふもとに見事な借景と壮大さで知られる修学院離宮を造りました。
 東山を借景にした無鄰菴(むりんあん)、嵐山を借景にした天竜寺などがあり、自然に恵まれた京都にふさわしい様式といえます。