京都を歩こう

文化財鑑賞の手引き 仏像の見方

 京都の寺院には、国宝を含む、数多くの仏像がまつられています。多くの人々が敬い、拝んできた仏様。やさしいお顔をされていたり、ときには怖いお顔をしていたり。仏様の種類や意味を知ると、お寺がもっと興味深くなります。

如来

如来 「如来(にょらい)」は、仏様の中でも最高の位です。
 悟(さと)りを開いたお釈迦(しゃか)様の姿を表わしているので、着衣は簡素。基本的に装飾品を身につけません。頭部は頭頂部がふくらんだ鏡もちのようなかたち(肉けい)で、螺髪(らほつ=小さくカールした髪の毛)をつけた独特のヘアスタイルをしていて、額には白毫(びゃくごう=みけんにある右巻きの白毛。伸ばすと4メートル以上になる)があります。
 釈迦如来をはじめ、極楽往生の信仰を集める阿弥陀(あみだ)如来、密教の中心仏である大日(だいにち)如来、人々を病苦から救う薬師(やくし)如来などがあります。

菩薩

千手観音菩薩 「菩薩(ぼさつ)」は、「悟りを求めるもの」という意味で、如来を目指して修行中の者、ということです。
 菩薩の姿は出家する前のお釈迦様をモデルとしているため、頭には冠などを飾り、体には美しい装飾品を飾っています。立像、坐像などスタイルや顔もさまざま。観音菩薩は人々を「苦」から救い「楽」を与える観世音菩薩の略で、複数の手や顔を持つ像もあります。基本形である聖(しょう)観音をはじめ、千の手を持つ千手(せんじゅ)観音、11の顔を持つ十一面観音など33の姿に変化して人々を救います。
 身近にある「お地蔵さん」は子どもを守り、地獄におちた人々を救う地蔵菩薩。半迦思惟(はんかしい)像で有名な弥勒(みろく)菩薩、知恵を象徴する文殊(もんじゅ)菩薩、お釈迦様の教えを手助けする普賢(ふげん)菩薩などがあり、人々に親しまれ、仏像彫刻の中で、もっとも優れた作品が多いのも菩薩像です。

明王

不動明王 明王(みょうおう)は、人間界と仏の世界をへだてる天界の炎の世界に住み、人間界の欲望などが仏界へ影響しないよう炎で焼きつくすといわれます。
 火焔光背(かえんこうはい)、逆立って炎のような焔髪(えんぱつ)、手には武器を持ち恐ろしい「忿怒相(ふんぬそう)」をしています。明王の忿怒相は、仏教に逆らったり、信仰を否定しようとする者への怒りも表しています。激しい怒りで悪を払い、その者を救済しようとしており、単に怖いだけではなくそこには慈悲の心も感じられます。おさげ髪が特徴の不動明王は、修行中の人を守る「身代わり不動」などとしても信仰されてきました。

天部

 天部(てんぶ)とは天上界に住む者という意味。仏教成立以前の古代インドの神々を仏教に取り入れ、仏教を守護する守り神としました。その数は200以上といわれ、役割や姿、表情もそれぞれ違います。
 大きく分けて、神将像としてヒンズー教の最高神である梵天(ぼんてん)・帝釈天(たいしゃくてん)、仏像を安置する壇の四方を固める四天王〔持国天(じこくてん)、増長天(ぞうちょうてん)、広目天(こうもくてん)、多聞天(たもんてん)〕、大黒天など福をもたらすとして信仰される七福神、仁王として知られる金剛力士、地獄の主神で支社の生前の罪を裁くといわれる閻魔(えんま)などがあります。天女像としては七福神のうちの弁財天、その美しさで有名な吉祥天などがあります。